チュウヤギャクテン。

主にSHISHAMOのライブレポートや遠征記を綴っています。

SHISHAMO ワンマンツアー2021秋「寝ても覚めてもかわいい君と死にたくなるような恋がしたい」を終えて

f:id:danr:20211213160556j:plain

 先日の福岡公演をもって2年ぶりの全国ツアー『SHISHAMO ワンマンツアー2021秋「寝ても覚めてもかわいい君と死にたくなるような恋がしたい」』が無事閉幕しました。全8公演に足を運んだということもあり、ツアーの感想を少しばかり述べたいと思います。公式のライブレポートは以下にアップされてます。

spice.eplus.jp

 

 『SHISHAMO 7』は曲順にこだわった作品でプロモーションにおいてもその点を推していたのでライブではどうなるか楽しみにしていましたが、同じセクションの中にまとめられていた部分はあったものの見事に全分割。中盤のMCでアルバムを聴いてくれているかを観客に問いかけ「今回のツアー聴いてなかったらかなりキツイ」「ほとんど知らない曲になっちゃうからね(笑)」なんて話をしていましたが、本当にその通りで初期の曲は「恋する」1曲のみ、ワンマンで定番の「タオル」もなし。今回は『SHISHAMO 7』を引っ提げたツアーなので、セットリストで物足りなさを感じるようなことは一切なく、むしろSHISHAMOはアルバムの曲を全曲ライブで披露してくれるのでありがたいです。アルバム引っ提げツアーであっても敢えて全曲はやらないというバンドもいたりするので。終盤まで手を挙げるような曲がほぼないのでそういった点ではもしかしたら物足りない人もいるかもしれませんが、個人的には純粋にアルバムの曲をじっくり聴けて満足しています。アニメーションや映像を用いたライブもそれはそれで良いのですが、開演後20分間映像が流れてるだけ、みたいなのはちょっとなぁ…と思ったりもしていたので…(笑)

 初日広島公演を観た第一の感想は、『本編ラストは「夢で逢えても」じゃないの!?』『「明日も」~「明日はない」の流れは良いけどアンコールに持っていった方が…』…といったことで、正直言うと少しモヤモヤが残りました。これは私が勝手に思っていることですが、アンコールはアンコールであってほしいのと、今までのツアーはわりとそういう感じだった気がするので。ただ、そうするとアンコールが長くなるので、「夢で逢えても」を本編に持っていって「恋する」をアンコールに…(「マフラー」はアンコールの方が良い)とか色々なパターンを考えてみたのですが、勢いのある曲で本編を駆け抜けて全体のラストをアルバムラストの曲で締めくくるというのも良いかなー、と回数を重ねるうちに思うようになりました。ツアー後半でアンコールに「ブーツを鳴らして」が追加されたこともあるので、今回のこの形がベストだったように思います。セットリストは先述の「ブーツを鳴らして」の追加以外は各公演固定でした。

 1曲目は「君の目も鼻も口も顎も眉も寝ても覚めても超素敵!!!」。過去のツアーと比較するとシングル曲を持ってきたことは意外でしたが、『7』に1曲目向きの曲があまりなく、「中毒」はなくはないけどだいぶゆったりなオープニングになる。SHISHAMOのワンマンではよくある新曲を冒頭に、というのも今回はさすがにないと思ったので納得の選曲です。

 アルバム13曲を全曲セットリストに入れると残りの枠は僅かとなるわけですが、その数曲の枠にまだライブで聴けていなかった「キスをちょうだい」、配信シングルとしてリリースされたもののアルバム未収録の「妄想サマー」が入ったのは嬉しかったですね。その2曲から「ドライブ」へ繋がる流れは個人的に今回のセットリストの一番のお気に入りです。『SHISHAMO 6』で私が推しているのは「忘れてやるもんか」なのですが…『7』の曲と並べると合わないことからやらないのは想定内だったので、セットリストの自由度が高い野音で今後聴けることを期待しています。(「天使みたい」と「今だけは」はあのオンラインライブ一度きりかなーと何となく思ってます。。)初日広島は下手前列だったのですが、ベースの側に置かれている機材なんだろう?と思っていたら「ドライブ」大サビ明けの“プップー”を松岡が鳴らしてました。

 今回のツアーではお客さんから質問やメッセージを募集、何に使うかはお楽しみに、といったことが事前に告知されていました。以前やっていたお悩み相談のようなコーナーがあることは想像がつきましたが、皆声出せないのにコミュニケーションどうするんだろう、という疑問が。コーナー自体は8曲を終えたタイミングで実施。暗転中はノイズ音に乗せて『現在ワンマンツアーを回ってます!』のようなラジオコメントを切り出したティザーのようなものが流れる。転換が整ったところで一旦ステージを降りていた3人が再登場。時報の後にラジオジングルが流れ、照明が付くと『SHISHAMOのハーフタイムRADIO!!!』と書かれたボードが。ラジオブースをモチーフにしたセットに3人が座り、お客さんから届いたメッセージを紹介していく、というまさにラジオのようなコーナーを開催。メッセージ募集の告知を聞いた時は『あぁー…あれまたやるのかー…』ぐらいのテンションでいましたが、コロナ禍ならではの新しいアイデアでとても良かったと思います。恋愛にまつわる投稿が多く見られましたが、最も印象に残っているのは、大阪での『他に好きな子が出来たけど彼女が自分ベッタリで可哀想』という男性からのメッセージに対して『女の子の方がすぐ次いくから!!!舐めんな!!!』…という朝子の怒りの返し。場内拍手喝采でした。

 ハーフタイムラジオの間、セットの後ろは黒幕で覆われていたのでこの次が「壊したんだ」であることを確信し…SPICEのインタビューで『ライブでこの世界をどう表現するか、どう演奏するか思案中です。』と語っていたこともあり、一体何が出てくるんだろう…もしかしてグランドピアノ!?なんて想像を膨らませていたら、バンドセットで「中毒」が始まって拍子抜けでした。。が、「二酸化炭素」「かわいい」と続くここの流れも良かったですね。幕が開けるとSHISHAMOロゴのバックドロップ登場。

spice.eplus.jp

 ファイナルの福岡公演を観たコウズマさんが、あのコーナーの後に演奏された「中毒」が刺さった、とインスタで語ってくれています。8公演観てきてもこういった観点では観てなかったので、なるほどなーと思いました。

 
 
 
 
 
View this post on Instagram
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

A post shared by コウズマユウタ (@kozumayuta_radio)

www.instagram.com

 アンコール1曲目に演奏された「壊したんだ」。2017年のVIVA LA J-ROCK ANTHEMSで朝子が歌唱した「カブトムシ」について、鹿野さんはこのようなコメントを残していましたが、それを彷彿させるような時間でした。音源で入っている打ち込みの音はなく、ピアノの音と朝子の歌声だけが響きわたる空間。コウズマさんも言ってるけど、本編2時間歌い上げた後のあの歌唱力は本当に素晴らしい。お顔が見えなかったのが残念だったので(グランドピアノじゃないので正面に置けなくもなさそうだけど難しいのだろうか)、円盤化はないにしてもどこかに映像アップしてくれないだろうか。(公式レポートの写真も後ろ姿のみ…)

 本編18曲、アンコール3曲(東京・福岡のみ4曲)の約2時間半の公演。昨年『SHISHAMO 6』を引っ提げるホールツアーが全公演中止になり、コロナ禍初の全国ツアー。札幌、仙台、福岡は約2年ぶり、広島に至っては2018春以来の約3年半ぶりのワンマンライブ。ホールツアーで予定していた地方の多くにはまだ行けていないものの、久し振りに作品を引っ提げたツアーを開催出来たことは、バンドにとっても大きな希望になったと思います。全8公演お疲れ様でした。『1ミリの思い残しもない』とのことなので3人にとっても良いツアーだったのではないかと。EPの中で唯一演奏されなかった「ミルクコーヒー」を今後聴ける機会があるかどうかが気になりますが、季節的に野音ではやらなさそうなので次の冬のツアーでお願いしたいです。

【セットリスト】

  1. 君の目も鼻も口も顎も眉も寝ても覚めても超素敵!!!
  2. 警報
  3. 人間
    (MC)
  4. 明日の夜は何が食べたい?
  5. はなればなれでも
    (MC)
  6. キスをちょうだい
  7. 妄想サマー
  8. ドライブ
    SHISHAMOのハーフタイムRADIO!!!)
  9. 中毒
  10. 二酸化炭素
  11. かわいい
    (MC)「『SHISHAMO 7』聴いてくれていますか?」
  12. 通り雨
  13. ごめんね
    (吉川美冴貴の本当にあった○○な話)
  14. ねぇ、
  15. きっとあの漫画のせい
  16. 恋する
  17. 明日も
  18. 明日はない
    《アンコール》
  19. 壊したんだ
  20. マフラー
  21. ブーツを鳴らして(12/4東京・12/11福岡のみ)
    (MC)EP宣伝、対バンツアー開催発表
  22. 夢で逢えても

 各公演のMC覚書はnoteにアップしています。

note.com

 「SPARK」でも話していましたが、今回のツアーはトラブルが多々ありました。横浜では朝子のイヤモニが聴こえなくなり5曲目後のMC不在(その詳細を知らされず「とりあえず喋れ」と言われるリズム隊2人)、仙台では「ドライブ」の入りのクリック音がイヤモニから流れてこなくて曲になかなか入れず、東京ではアンコールの「マフラー」前にアンプが鳴らなくなり一時中断し急遽MCで繋ぐ(実際は「明日はない」の時点で異変を感じたとのこと)。東京は1曲追加されたこともあり、15分ほど終演時間が伸びました。

 今回はお客さんは声が出せないので、冒頭のMCでは『拍手や身振り手振りをいつもの5倍ぐらいに』と各公演で煽っていました。その中でも特に大阪は“爆音”で本当に5倍の拍手が鳴っていたように感じました。

 その他気になったことと言えば、漫画といえばブラックファルコン、ブラックファルコンといえば漫画、…と勝手に思っていますが今回はテレキャスで弾いてました。セットリストはほぼ固定でしたが、ファイナルの福岡のみアンコールの退場時にピック投げ&スティック手渡し(スティックは前列の女の子に)がありました。声が出せない、マスクしなきゃいけない等まだ色々とルールはありますが、少しずつ戻ってきてる感じがしますね。広島のワンマンライブで恒例の登場時のカープ帽投げは今回はありませんでしたが、ラジオコーナーで被ってました。可愛かった。

 先日正式に情報解禁されましたが、各公演のアンコールのMCにおいて来年春の対バンツアーの開催を発表。本人達も言っていましたが、SHISHAMOが対バンツアーを回る日が来るとは思っていなかったので本当に感慨深いです。。対バンツアー自体も嬉しいお知らせですが、来年もSHISHAMOは続いていって、9年目にしてバンド史上初の出来事があるということでその先もまだまだ楽しみなことが期待出来そうな予感がしています。年内の活動は、残すはフェス2本。私もSHISHAMOと同じくRADIO CRAZYでライブ納めの予定です。今年も残り僅か、最後までよろしくお願いします。