チュウヤギャクテン。

主にSHISHAMOのライブレポートや遠征記を綴っています。

SHISHAMO NO OMANEKI TOUR!!! 〜開国2022〜を終えて

 SHISHAMO史上初の対バンツアー『SHISHAMO NO OMANEKI TOUR!!! 〜開国2022〜』、4月24日をもって全7公演が終了しました。ツアー初日終演後に“素晴らしいツアーになると思う”と言っていた通り、メンバーにとってもおそらくお客さんにとっても特別であった今回のツアー。一部本来の形でない部分はありましたが、いつ誰がコロナに罹ってもおかしくない状況の中、1公演も中止・延期になることなくツアーを完走出来て本当に良かったと心の底から思います。そんな素晴らしいツアーの思い出を記憶の限り残しておきたく、今回記事を書きました。公演毎のレポートは別途アップする予定なので、以下に全7公演の総括を記します。


 今回は作品を引っ提げたツアーではないこと、さらには初の対バンツアーであることからも、曲目も曲数も予測不能でした。対バン公演では本編10曲+アンコール1曲、ゲストの持ち時間を含めて2時間半前後、普段のワンマンと同等の公演時間。対バンであれば3時間程度になることを予想していたため短い印象を受けましたが、ツーマンライブとしては標準的な時間でしょうか。今回のツアーで「狙うは君のど真ん中」と「春に迷い込んで」をライブ初披露。この2曲を含めて7曲が固定で残りの3曲は日替わり。「君と夏フェス」を除けば最古が『SHISHAMO 4』から、ということでいずれの公演も最近の楽曲中心のセットリストでした。日替わり曲は以下の通り。

  • ひっちゃかめっちゃか(横浜/仙台/福岡/大阪)
  • かわいい(横浜)
  • 妄想サマー(横浜/札幌)
  • きっとあの漫画のせい(横浜/名古屋/大阪)
  • 真夜中、リビング、電気を消して。(仙台/札幌/名古屋)
  • 好き好き!(仙台)
  • 君の大事にしてるもの(札幌/福岡/名古屋)
  • 警報(福岡)
  • 君と夏フェス(大阪)

 「春に迷い込んで」は初日の時点ではリリース前かつラジオオンエア前ということで、ライブで初解禁という形になりました。配信シングルリリースの発表があったのが丁度初日の3月7日。曲名も何もわからない状態でライブで初めて聴く、というのはSHSHAMOの場合はわりとよくあることですが、曲名がわかっていてリリースも決まっている状態でライブで初めて聴く、というパターンは珍しい気がします。この後に続く「夏の恋人」は一見季節外れの曲ではありますが、ここの流れ、とても良かったですね。初日はあまり感じませんでしたが、リリースされて歌詞を読んでから聴くと、セトリ天才だなぁと。その次の「夢で逢う」も含めてここの3曲はファイナルのワンマンまで固定でしたが、今回のツアーの見所のひとつであったと思います。

 初日の横浜公演でスカパラのDr.茂木さんが『僕のSHISHAMOは…私のSHISHAMOは開国なんかしなくていい、手放したくないって思ってる人がいるかもしれない』といったことを仰っていました。実際に、それに似た意見をちらほら見かけました。『SHISHAMOの持ち時間が短くなる』『他のバンドは聴かない』…等々。その気持ちはわからなくはないですが、ワンマンでは絶対に見ることが出来ない感動の瞬間がたくさんありました。そのひとつはアンコールでのゲストの皆さんとのセッション。各ゲストとのラジオコラボ出演やツアー直前の生配信の中でその日限りの特別なことがあることは匂わせてはいましたが、どの公演も期待以上でした。お招きされる側の対バンでは恒例となっている1曲目のカバーのサプライズは今回はなく、アンコールで1曲ゲストの楽曲を一緒に演奏。MCでの話を聞く限り朝子の選曲と思われます。SHISHAMO以外も色々とライブに足を運び対バンライブも数多く観ていますが、ゲストの楽曲で締める対バンというのは初めて観ました。フルバンド同士のセッション、ツインドラムというのもなかなか見られないので貴重な機会でした。初日のみイレギュラーで、スカパラのステージに1曲朝子がゲスト出演し、アンコールではSHISHAMOの「明日も」を生ホーンを交えて演奏。今回のツアーはどの公演も優劣をつけられないほどメモリアルなライブでしたが、今振り返ってみても初日はやはり特別感がありました。

 そして、今回のツアーではなんとSHISHAMOの楽曲をカバーしてくださるバンドもいました。ピロウズが「量産型彼氏」、フジファブリックが「明日も」。アンコールのセッションもスカパラの歌モノ参加も予想はつきましたが、これは予想外でしたね。サビのみやワンコーラスではなくいずれもフルコーラス。ピロウズは今回のために特別に作ったカバー音源を収録したCDまで用意してくださり、3人ともとても喜んでいました。

 急遽ワンマンでの開催となったツアーファイナル。これまでの6公演のセットリストをベースに、最近の楽曲中心という点は変わりない中で「許してあげるから」「天使みたい」「メトロ」といったレア曲に分類されるであろう楽曲が複数追加されました。「天使みたい」は有観客ライブとしては初披露。アンコールではセッションを予定していたFLOWER FLOWERの楽曲を3人でカバー。対バンツアーでファイナルのみワンマンというのは珍しくはないですが、記念すべきツアーの成功を心から願っていたので、完全体でなくなってしまったことは最初はただただ残念でした。しかし、当日のライブではマイナスな空気は一切なく、終演後の動画で3人が言っていた通りツアーの締めくくりとしてふさわしい、とても良いライブとなりました。

 冒頭のMCでは自分達主催のツアーであるにもかかわらずどの公演においても『はじめましての方、はじめましてSHISHAMOと申します。』と挨拶。ファイナルのワンマンにおいても、払い戻しをせず来場してくれたFLOWER FLOWERのお客さんを気遣う場面があり、今回お招きしたゲストのお客さんのことを意識していることが伝わりました。“鎖国バンド”と自称しているだけあってフェスのバックヤードではひたすら芝生を見て歩いてる、なんて言っていたこともあるので本当に誰とも交流をもたなかったのかと思いきや、ゲストの皆さんのMCの中で、過去に共演した際に楽屋に挨拶にきてくれた話や、新譜をリリースする度に直筆の手紙を添えて送ってくれるといった話を聞くことが出来ました。

 その他、普段のワンマンツアーと異なった点を挙げるとすれば、開場中BGMがピーズのみでなく今回のゲストの楽曲をミックスしたものが流れていました。印象が強いのはフジファブリックの「恋するパスタ」、ORANGE RANGEの「papa」、…というこれまたコアな楽曲なのでこれも朝子選曲なのでしょうか。もう1つは、ツアー全公演にオフィシャルカメラマンがついていたこと。(毎ツアー全公演ついてるバンドもいますが、SHISHAMOは普段は東京公演のみだったはず…)カメラマンはいつもSHISHAMOのワンマンを撮影してくださっているしばたえりさん。初めての対バンツアー、もしかしたら最初で最後になるかもしれない対バンツアー…その日しか見られない貴重な瞬間を残してくださりありがとうございました。欲を言えば映像で残してほしいと切実に思っていますが…何かしらの形にならないだろうか…。セッションは事務所やレーベルを跨ぐので難しいかもしれませんが…どうかご検討お願いします。

 前回のワンマンツアーの札幌公演で対バンツアーの開催が発表された時は驚きましたが、“開国”本当に楽しかったです。私はSHISHAMOのことをバンドの紀元前から知っているわけではないですが、今までSHISHAMOを応援してきて良かった、と今回のツアーを通して改めて感じました。初の試み、企画してくれて本当にありがとう。2年後、3年後でもよいのでまたいつの日かの“一時開国”を楽しみにしています。